前回のクリニックでは痛みのため検査を中断することになったので、今回の内視鏡手術では麻酔を使うことになりました。麻酔の準備のため、「処置室」で点滴を受けていました。そこはがん患者のための処置室のようで、室内にあるトイレに貼り紙がありました。
「トイレの水は2回流してください。抗がん剤はがん細胞を壊しますが、普通の細胞も壊してしまうからです」
え、そうなんだと思い、思わず水を2回流しました。私は抗がん剤を使っているわけではないので1回でよいのですが。
私が受けている点滴は、看護師さんによると「スポーツドリンクのようなもの」だそうで、麻酔の準備のようです。「麻酔」と言っても「意識はあるけど、ちょっとぽ〜っとする」ものだそうです。
点滴を打っている間はベッドで安静にしているのですが、下剤が効いているので時々処置室内にあるトイレに行きました。点滴を受けている状態でトイレに行くのは初めてで、腕をどこかにぶつけて点滴の針が深く入ってしまわないかとか、針が抜けるのではないかとか、気を使いました。針が刺さっている自分の腕も痛々しいです。
ベッドはそれぞれカーテンで仕切られていて、姿は見えませんが周りの声が聞こえてきます。看護師さんと話している女の子の声が聞こえてきました。年長さんくらいのかわいらしい声です。
あんな小さな子もがんの治療をしているなんて..
女の子は治療の経過をしっかりした口調で看護師さんに話しています。
なんてしっかりした子なんでしょう。
対してその子より40年以上も長く生きている私は「スポーツドリンクのような」点滴を受けているだけで心細い気持ちになっていたのです。
「せんぱい、私は心細いです..」心の中でつぶやいていました。